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論文など

厚生労働大臣表彰を受賞して

令和元年度高知県産婦人科医報312020,5,16

福永寿則

 

 

 高知県産婦人科医会前会長の濱脇先生のご推薦、坂本現会長のご指導を賜り、令和元年9月に産科医療功労者厚生労働大臣表彰という大変名誉ある賞を受賞させていただきました。さらに、1122日にはザ・クラウンパレス新阪急高知において受賞祝賀会を開催していただき、たくさんの皆様に御臨席を賜り、非常にうれしく、またありがたいことでした。深く感謝申し上げます。祝賀会では高知県知事尾﨑正直様、恩師であり高知大学医学部先端医療学推進センター名誉センター長の相良祐輔先生、そして、高知県医師会会長の岡林弘毅先生からの身に余る御祝辞をいただき、改めてこの受賞の重みを感じ、その状況に身の引き締まる思いを強くしたことでした。

 高知ファミリークリニックは平成18年に開業しました。昭和59年、今から35年前に高知医科大学を一期生として卒業し、そのまま高知医科大学の産科婦人科学教室に入局。大学での研修や関連病院での経験を積むうちに、自然と私の興味は分娩に関わる産科、そして母と子の関係に向かっていました。平成5年土佐市民病院産婦人科に一人医長として赴任後は、そのような産科医療に対する思いは母乳育児支援や産後の母子同室などの形として具体化されてきました。そして、平成7年から10年間勤務した川村会くぼかわ病院において現在高知ファミリークリニックで行っている産科医療の基本ができました。

 当院の基本的な考え方は分娩、お産をゴールとするのではなく、スタートとしてとらえています。生れた赤ちゃんの人生のスタートであり、そして赤ちゃんが加わった新しい家族のスタートであります。ですから、生まれた赤ちゃんの幸せな人生、赤ちゃんが加わった新しい家族のさらなる幸せ、そして、そのような家族が増えることによる、より良い社会への変化を基本的な願いとし、育児のスタート、新しい家族のスタートを支援する産婦人科クリニックでありたいと思っています。その実現のための取組みとして、「ソフロロジー式分娩法」を取り入れ、「家族立会分娩や産後の家族同室・宿泊」を勧め、また「母乳育児支援」を行っています。さらに、平成30年からは最近問題となっている妊産婦のメンタルヘルスケアについても力を入れています。

ただ、このような活動は、私や高知ファミリークリニックのスタッフのみの力でできるものではありません。高知県医師会、高知市医師会の先生方には、開業の当初から温かく見守っていただき、非常にありがたく感謝されます。また、大学医局の先生方や、いつもたくさんの患者さんを紹介させていただいている病院の先生方、また赤ちゃんの1カ月健診をお願いしている小児科の先生方、さらには平成30年からの当院の助産師不足による大変困難な状況であった時期にお世話になった各方面の方々、その他、本当にたくさんの皆様の支えをいただいて、高知ファミリークリニックは活動を続けることができています。改めて、深く感謝申し上げます。

診療内容はまだまだ目標とするレベルには達していませんが、今回の受賞を励みに、これからもクリニックのスタッフと力を合わせ、微力ではありますがこの厳しい高知県の周産期医療体制の一員として、研鑽・日々の診療に努めたいと思っています。どうか皆様には、今後ともご指導・ご鞭撻を賜りますように深くお願い申し上げます。

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