第70回高知産科婦人科学会学術集会(2020.12.12) 一般演題 抄録
高知ファミリークリニックにおける胎児・新生児の形態異常と胎児超音波スクリーニングの成績
所属機関;高知ファミリークリニック
演者:〇福永寿則、山田るりこ
抄録:
当院の胎児経腹超音波検査は研修を受けた検査技師が主に行っており、妊娠22週、30週、36週には医師が確認している。今回の検討対象は2016年1月~2020年9月の当院分娩 2,133例、胎児異常があり紹介先の医療機関で管理された症例 118例、計 2,251例である。胎児期の紹介数(FGRを除く)は85例で、異常なし14例であった。出生後に形態異常(副耳、血管腫・母斑を除く)での紹介31例、異常なしは4例であった。したがって軽度のものも含めると児の形態異常発生率は 98例(4.35%)である。この内、特に妊娠中の診断が望まれる疾患27例(1.20%)を以下に示す。
(胎児期に判明したもの)脳室拡大 1、脳室拡大・IUFD 1、脳梁欠損 1、無頭蓋症 4、後頸部浮腫・小耳症 1、染色体異常 1、頸部嚢胞 1、房室中隔欠損症・大動脈縮窄症・21 trisomy疑い 1、完全大血管転移・房室中隔欠損症・IUFD 1、完全大血管転移 1、ファロー四徴症疑い 2、右大動脈弓 1、先天性肺気道奇形 1、原発性胸水貯留疑い 1、臍帯ヘルニア 2、横隔膜ヘルニア 1、十二指腸狭窄・染色体異常疑い 1、胎便性腹膜炎 1、四肢短縮症 1、両手首屈曲・18 trisomy 1。
(出生後に判明したもの)顔貌異常・21trisomy 1、尿道下裂 1。
なお、心室中隔欠損は胎児期判明17例、出生後判明11例であった。
出生後に判明した21trisomyは妊娠19週での胎児超音波検査精査では異常所見なし。その他の異常のほとんど、特に心臓の大奇形の5例はすべて妊娠中に気づき、高次医療機関に紹介することができている。
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