第65回高知産科婦人科学会学術集会(2015.12.12)一般演題抄録
子宮頸管裂傷の2層縫合の工夫
高知ファミリークリニック
福永寿則
(はじめに)
子宮頸管裂傷は全分娩の約1%に発生するとされている。産後出血の原因の一つであるが、日常の臨床では出血は多くないが修復を必要とするものがほとんどである。子宮頸管裂傷の縫合法として、以前は2-0サージソーブで単結紮・一層縫合を行っていた。しかし、この方法では薄く伸びた子宮頸部の頸管内膜・筋層・膣部上皮の3層をきれいに合わせるのが難しく、時に1か月健診時にきれいに修復されていない症例があった。そこで縫合法を工夫し、その効果をカルテから検討した。
(方法)
平成26年から子宮頸管裂傷の縫合法を次のようにした。①頸管内膜を4-0バイクリルで連続縫合。②子宮頸部筋層を2-0サージソーブで単結紮・一層縫合。このようにすると、最初の内膜縫合で裂傷の外側はきれいに層が合うように自然に密着しており、その後の子宮筋層の縫合は容易であった。
(結果)平成26年1月~平成27年8月までの子宮頸管裂傷の発生率は 18例(2.1%)であった。18例の内、1例は頸管裂傷からの出血多く1層縫合、1例は当直医による縫合であり、残りの16例が上記2層縫合。16例の内2例は児の搬送などのために当院の1か月健診を受診せず。残りの14例はすべて産後1か月健診時の診察で子宮頸部の治癒良好であった。
(結論)
今回検討した子宮頸管裂傷の2層縫合は有効と思われた。
スライド資料はこちらから